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5月30日、読売新聞東京本社大会議室にて「第2回読売セルフメディケーション講座〜日頃の痛みと上手につきあう方法」が開催されました。頭痛や肩こり、腰痛など身近な痛みの原因とその解消法について、専門家がわかりやすく解説。約330名の来場者は「YES」と「NO」が書かれたうちわを手に、パネルディスカッションに参加しました。


PART1 基調講演 【痛みの原因を知って、痛みをいやす】
悪循環する痛み、早めに治療を
 
痛みは危険から命を守る
大切なシグナル

痛みはつらく苦しいものです。しかし、痛みとは、さまざまな危険から生命を守るためのシグナルであることを知ってください。
そして、痛みの原因を知って正しく対処することによって、健康に生活できるのです。

東京大学医学部附属病院
麻酔科・痛みセンター長

花岡 一雄 氏
原因と伝わる速度で
分類される痛み

痛みは三つの種類に分けられます。一つめは指を切ったときなどに感じる「侵害受容器性ペイン」です。二つめは帯状疱疹などで神経が傷つけられたことによる「ニューロパシックペイン」。帯状疱疹とは、免疫力が低下したとき、神経節に潜む水疱瘡ウイルスが神経や皮膚を痛める病気です。
三つめは、ストレスなど精神的なダメージにより起こる「心因性ペイン」。慢性的な痛みは、一つだけではなく、重なって起こることもあります。その場合は治療も難しくなります〔図1参照〕。
さらに、伝わる速度によって二通りの痛みに分類できます。一つは足をぶつけた、頭を打ったとき瞬時に感じる痛みです。もう一つは、少したってからやって来るジーンとした鈍い痛みです。この鈍い痛みの代表的なものとして、胃腸など内臓の痛みがあげられます。


肩が痛むと心筋梗塞?
不思議な関連痛

不思議な痛みとしては、幻肢痛と関連痛があります。幻肢痛とは、足を切断した後、本来はないはずの足に痛みを感じる症状です。その原因は、足があった頃の痛みを脳が記憶しているためだと言われています。
一方、関連痛とは病気にかかっている部位とは異なるところが痛くなる症状です。例えば、急に左肩が痛くなったときは、心筋梗塞など心臓の病気にかかっていることもあります。そのため、これまでにない痛みを感じたときは、たんなる肩こりや腰痛と決めつけず、専門家に相談しましょう。
五十肩には運動と
湿布薬、鎮痛薬を

一般的に多いのは、頭・顔面・頸・肩、そして腰・膝・足の痛みです。なかでも多いのが、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎が原因である肩の痛みです。これは肩周辺の血の巡りが悪くなり、そこに炎症が起きることで発生します。軽い痛みであれば、首を動かすなど簡単な運動が効果的です。少し強い痛みになると、市販の湿布薬や消炎鎮痛薬で対処します。
さらに強い痛みになると、神経ブロックや手術に頼ることになります。神経ブロックとは、痛んだ神経のまわりに局所麻酔薬を直接注射する方法で、多くのペインクリニックで実施しています。
日本人に増えている
腰・膝などの関節痛

最近の日本人は腰の位置が高くなったため、腰や膝に負担がかかりやすくなり、関節痛になる人が増えています。腰の痛みとして多いのは、ギックリ腰と呼ばれる急性腰椎症や椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症などがあります。
これらの治療は、患部を冷却したり、温めたり、鎮痛薬を服用しても効果がなければ、神経ブロックなどを用います。
六十歳以降は要注意
帯状疱疹後の神経痛

六十歳を過ぎたら気をつけたいのが、帯状疱疹後の神経痛です。年をとると、帯状疱疹後に神経が再生しにくいため、慢性的な痛みを抱えてしまいます。これは皮膚に触れるだけといった程度の刺激が、全て痛みになる厄介なものです。
六十歳以降に帯状疱疹になると、六割以上の人が帯状疱疹後神経痛になるといったデータもあります。治療法としては、鎮痛薬や神経ブロックが用いられます。
ペインクリニックの
痛みを計るものさし

痛みは人それぞれで感じ方が異なります。そのため、痛みを治療するペインクリニックでは、患者さんが感じている痛みを知るために「フェイススケール」というものさしを使用します。これは痛みを一から十で表したときに、いくつくらい痛むのかを知るものです。ペインクリニックでは、二から三を治療目標としています〔図2参照〕

医師や薬剤師に痛みの程度を伝える場合は、どこが・いつ頃から・どの程度・どんなときに.どれくらいの頻度で痛いのかをまとめておくと、適切な治療や薬剤を薦めてもらいやすくなります。
悪循環する痛み
我慢せず早めの治療

痛みは我慢すると、さらに新しい痛みを呼び込んでしまいます。これを「痛みの悪循環」と呼びます。一度、陥った悪循環は、さまざまな治療を施さないと断ち切れないため、まずは痛くしないこと、痛くなったら我慢せずに、早めに抑えることを忘れないでください。
また、栄養バランスの取れた食事や適度な運動や体操、必要十分な睡眠など、規則正しい生活習慣を心がけましょう。さらに、痛みは精神的な問題が原因で発生することもあります。そのため、明るく元気な気持ちで過ごすことも大切です。
そして、痛くなったときにはできるだけ我慢せず、痛みの専門家に早く相談することをお薦めします。