
このたび、当協会定時会員総会ならびに理事会におきまして 会長に選任され就任いたしました。関係者の皆様方のお力を お借りしながら協会活動を前に進めていく所存ですので、なお 一層のご支援とご協力を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
我が国の医療提供体制および国民皆保険の維持のためにも、当協会では自助・共助・公助の観点からかねてより、「自分の健康は自分のために自分で守る」というセルフケアや軽微な身体的不調は自分自身で手当てするセルフメディケーションの普及を進めてまいりました。そのために、セルフメディケーションを実践する基礎となる生活者のヘルスリテラシーの向上、OTC医薬品・検査薬の範囲拡大、OTC医薬品をより身近なものとするためのデジタル技術の活用、セルフメディケーション税制の活用促進など基盤の整備を進めています。
さて、当協会ではこの度、2030年に向けたスローガンとしてStatement 2030を策定致しました。今後は、このStatement2030に基づき、以下の5つの重点活動項目に取り組んでまいります。
【5つの重点活動項目】
- OTC医薬品・OTC検査薬の普及・拡大
- セルフメディケーション税制改革への要望の実現
- ヘルスリテラシー向上による適切なOTC医薬品の選択と適正使用の推進
- セルフメディケーションに関するDXの推進
- OTC医薬品の品質・信頼性の向上

■1点目は、OTC医薬品・OTC検査薬の普及・拡大です。スイッチOTC化の加速、慢性疾患治療薬などの新たな領域のスイッチOTC範囲拡大の支援をしてまいります。また、OTC検査薬についても穿刺血等の低侵襲性検体を用いた検査薬など、範囲拡大への必要な対策のとりまとめを行ってまいります。そして上記慢性疾患治療薬のOTC化サポートともなるセルフモニタリング・セルフチェック体制を充実させてまいります。

■2点目は、セルフメディケーション税制改正への要望の実現です。2026年度の税制改正に向けて制度の恒久化、対象品目をすべてのOTC医薬品・OTC検査薬へと拡大すること、1万2千円の購入を利用の条件として維持するものの差引額をゼロとし、上限額を引き上げることを要望します。そのためにも、関係団体等と意見交換などを行い、日本一般用医薬品連合会(一般薬連)と協働で税制改正への準備を進めてまいります。

■3点目は、ヘルスリテラシー向上による適切なOTC医薬品の選択と適正使用の推進です。セルフメディケーションを実践する上で基礎となるヘルスリテラシーの向上を目指し、医師会・薬剤師会などのステークホルダーと連携して小学生にくすり教育を普及させる取組みを推進します。また、生活者が医療機関にかかるあるいはOTC医薬品での対処の判断を手助けする「上手な医療のかかり方」を実践できるよう、関係団体と取組みを進めてまいります。

■4点目は、セルフメディケーションに関するDXの推進です。生活者とOTC医薬品のアクセス窓口として、セルフメディケーションプラットフォームを充実させます。OTC医薬品情報の提供サービス支援、おくすり手帳との連携、セルフメディケーション税制申告の支援、e-ラベリングなど、生活者の利便性を向上させるための取組みを一般薬連と協働して進めてまいります。

■5点目は、OTC医薬品の品質・信頼性の向上です。自主点検により明らかになったOTC医薬品の品質問題の解消および再発防止に向けた取り組みを強化します。