
今日、少子高齢化を背景に、社会保障費(医療費)の膨張が大きな課題となっています。これに加えて、新型コロナウイルスの蔓延やDX(デジタル・トランスフォーメーション)技術の進展、世界的なSDGs(持続可能な開発目標)の推進など、生活者の健康を取り巻く環境は急速に大きく変わっています。
そのような中で、生活者が「自分の健康は自分のために自分で守る」セルフメディケーションの役割は益々大きくなっています。
当協会ではこれまで、セルフメディケーションの推進に取り組んで参りましたが、上記のような環境変化を踏まえ、今回、着眼大局・着手小局の視点で、OTC産業のあるべき姿を示した「OTC医薬品産業グランドデザイン」の見直しを行いました。
まず「着眼大局」として、国民皆保険制度を守っていくためには医療費の効率的・効果的使用の後押しが重要であり、そのためにもセルフメディケーションの役割が今後益々大きくなってくると考えました。 そのうえで「着手小局」として、生活者の行動変容支援をはじめとする以下の4点を重点課題として設定しました。
■1点目:生活者の行動変容を支援
生活者の健康リテラシー向上を支援するために、セルフメディケーション教育の普及に向けた行政への働きかけや教育資材の作成および利用促進に向けた活動を進めて参ります。
さらに、医師や薬剤師、学校教育者など、様々な専門家による健康リテラシー教育やセルフメディケーション推進を支援していきます。
■2点目:セルフメディケーションを実践しやすい環境作り
セルフメディケーションを実践する(行動変容)ために、セルフメディケーション税制の充実・発展やスイッチOTC化の促進、新たな効能範囲の拡大などを支援して参ります。
さらに、自分の健康状態を把握するためには、自己診断ツール(検査薬、検査キット、ウェアラブルデバイス等)の充実や健康状態を相談しやすい環境づくりが重要であり、OTC検査薬をはじめとする自己診断ツールの範囲拡大に向けた働きかけを進めていきます。
■3点目:デジタルを活用したアジアへの進出支援
各国規制の調和と緩和に向けた働きかけを進めるとともに、日本のOTC医薬品のブランド価値向上に向けた情報を発信していきます。
■4点目:地球環境問題への対応
カーボンニュートラル(CO2削減)や産業廃棄物の削減および再資源化の促進を進めて参ります。
当協会は、これら活動を進めていく上で、様々な専門家、関係者や各種団体等(医師、薬剤師、登録販売者、販売業、流通、マスコミ、行政等)と協調していくことが必須であり、特に厚生労働省・医政局のセルフケア・セルフメディケーション推進室との連携を進めていきたいと考えています。